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【今さら聞けない訴訟の話③】そもそも「集団訴訟」って、何?
※当事務所運営の集団訴訟サイト「ZENSHO」コラムからの転載記事です
https://zensho.tokyo/apps/front/column/show.php?pid=452
「ZENSHO」は、同じ被害を受けた被害者どうしが連帯して、集団訴訟を目指すサイトです。
ところで、そもそも「集団訴訟」とはどういうことを指すのでしょうか。
・「集団訴訟」=利害関係が共通する複数の原告が起こす民事訴訟
集団訴訟とは「同じ人物・事件などを原因として複数の被害者が損害を受けた場合」に、その「複数の被害者が同時に原告となって起こす民事訴訟」のことです。
※「民事訴訟」とは何か、はこちらをご参照ください
つまり訴訟の目的が同じ、利害関係が共通する原告(訴える側)が複数いるならば、連帯して一緒になって訴訟を起こすメリットがある、ということです。
・集団訴訟の3大メリット
前項で述べた集団訴訟のメリットですが、主なものは以下の3つです。
①複数の原告で1つの訴訟を起こすので、裁判の手間や費用が分担できる。
②被害者同士が情報交換できるのでお互いが精神的な支えになり、被害の実態もより明らかになる。
③集団で訴訟を起こすほどの被害があることが世間に認知され、問題の公共性・社会性が高まり、その結果被告の譲歩を引き出せる可能性も高まる。
このようなメリットはありますが、そもそも被害者同士が連帯して訴訟まで辿り着くのはハードルが高く、実際の集団訴訟は社会性の高い被害規模の大きな事件で行われるのが大半です。
過去の集団訴訟の具体例としては、欠陥商品による消費者問題・製薬会社による薬害事件・工場による公害事件などのほか、投資集団による大規模な運用の失敗など、被害者の数が多く大規模な事例が大部分を占めています。
しかし「集団訴訟」の有効性は、個々の損害額が少額の場合に大きくなります。というのも、1人で原告となって訴訟を行う場合は、訴訟の費用や証拠集めの手間を考えると、損害賠償で得られるお金では割に合わずに、結局「泣き寝入り」になる場合が多いからです。
「ZENSHO」では、少しでもそのハードルを下げて、小規模な事件でも集団訴訟が選択肢の一つになるように、お手伝いしたいと考えています。
小規模な事件でも「事件を可視化する」「訴訟を起こす」ということが、泣き寝入りを回避し、結果的に詐欺や不正がしにくい社会の実現に繋がるのではないでしょうか。
・集団訴訟、共同訴訟、団体訴訟とは
集団訴訟以外にも、共同訴訟や団体訴訟という言葉もあります。
印象としてはほぼ同じで違いが分かりづらいですが、簡単に言えば「共同訴訟」は原告か被告(あるいはその両方)が複数いる訴訟の総称なので、「集団訴訟」は「共同訴訟」の一部となります。
「団体訴訟」は、ある事柄の複数の被害者の権利を代表する団体が原告となって訴訟を起こすことで、日本では政府が認めた特定の消費者団体がその権利を持っています。政府が認めている「適格消費者団体」は2022年9月現在23団体で、その一覧はこちらになります。
それぞれの関係性を図にするとこちらのようになります。
「共同訴訟」には、「通常共同訴訟」と「必要的共同訴訟」があり、必要的共同訴訟というのはその名の通り原告あるいは被告が共同である必要があるもの。例えば共有管理している財産の名義の書き換えを要求する場合や、第三者が婚姻無効の訴えを起こす場合は、原告あるいは被告が複数いても、同時に同様の結果を共有することが明らかに必要なので「必要的共同訴訟」となります。
必要的共同訴訟も細かく分けると「固有必要的共同訴訟」「類似必要的共同訴訟」がありますが、ここでは割愛します。とにかく判決を出す以上は、複数いる原告あるいは被告が同じ結果を共有する必要があるのが「必要的共同訴訟」ということ。それ以外の共同訴訟、つまり「必ずしも必要ではないのに、共同訴訟を起こす」のが「通常共同訴訟」ということになります。
そしてこの「通常共同訴訟」というのが、いわゆる「集団訴訟」です。
「ZENSHO」は、法律上は必ずしも必要ではないが原告のメリットのために共同訴訟を起こす、つまり「集団訴訟」のためのサイトなのです。
・まとめ
「集団訴訟」とは「同じ人物・事件などを原因として複数の被害者が損害を受けた場合」に、その「複数の被害者が同時に原告となって起こす民事訴訟」のことです。
「集団訴訟」は「共同訴訟」の一種であり、法律上共同で訴訟を起こす必要がある「必要的共同訴訟」を除く、「通常共同訴訟」のことを指します。
法律上必要ではないのに共同で訴訟を起こす理由は、「①費用や手間の軽減」「②連帯や被害の可視化」「③公共性を高め世論を味方に被告の譲歩を引き出す」という3つの大きなメリットが期待できるからです。
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